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雑誌「ダヴィンチ」の企画に参加したものです。3冊選んでコメントするという趣向でした。 内田百聞『恋文』(中公文庫) 石川淳『紫苑物語』(講談社文芸文庫) 小島信夫『残光』(新潮社) なかなかムツカシい注文でしばし考え込みましたが、個性的かつ効果的な「書き方」を学ぶなら、この三人は外せません。 内田百聞は小説、随筆、紀行文、手紙、日記など、沢山の著作が文庫で読めますが、いずれも淡々とした筆致で、「行間の情感」を見事に描き出しています。その「情感」はゾクゾクするような怖さだったり、ほのかで強い恋心だったり、のほほんとした気分だったりするのですが、けっして言葉をみだりに使わず、読者に想像させる余地を残すことで、かえって絶妙なエモーションを醸し出しています。最近続けて文庫になった『恋日記』『恋文』は小説じゃないのですが、思わず胸苦しくなるような素晴らしい「恋愛文学」です。 石川淳は書き出しが異様にカッコいい。「国の守は狩を好んだ。」(「紫苑物語」)「ここに切りひらかれたゆたかな水のながれは、これは運河と呼ぶべきだろう。」(「鷹」)「佐太が生まれたときは、すなわち殺されたときであった。」(『荒魂』)「まず水。」(『至福千年』)等々、きわめて格調高く、かつ一気に物語の世界へと引き込む強烈なベクトル感覚に満ちています。 保坂和志、高橋源一郎などに熱狂的に支持されている小島信夫は、九十歳で最後の長編『残光』を上梓しました。超自然体のアバンギャルドというか、「小説」というものは究極的には何をどう書いてもいいのだ、という気にさせてくれる、自由闊達さの極致のような奇跡の作品です。
by EX-PO
| 2008-05-18 14:37
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