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ポストパンクの狂騒に引導を渡し、マスロックの怠惰に喝を入れる、ゼロ年代の終わりとテン年代の始まりを高らかに告げつつ不気味に嗤う、邪気と頓知に満ちたラストパンク、メタマスロック。 聴け!、笑え!、そして考え込め!! 空間現代という奇妙な名前のバンドをやってるのだと生徒Aから聞いたのは、あれはいつのことだったか?。教えている大学の授業後、いつのまにか毎週のようにやるようになっていた飲み会の席でだったと思う。私はなんじゃそりゃ?とか思い、たぶんそう生徒Aに言いもして、後で空間現代のホームページを見つけて、やはりなんじゃこりゃ?と思った。だが、なんとなく特殊な言語感覚を感じるな、とは思った。 それから暫くして、生徒Aは「笑え」と題された1曲だけが入ったCDRを持ってきた。ちゃんと完成できた音源がこれしかなかったという。聴いてみて、なかなか面白いと思った。ヒネクレてるのだが、妙にポップで、諧謔味に満ち満ちているようで、どこか超然としているようでもある。ここ一番の爆裂感にも好感が持てた。あんまり最近聴いたことのない音だと思い、生徒Aにもたぶんそんなことを言ったと思う。その時はまだ半ば冗談で、今後の頑張り次第でウチでCD出せるかもしれないとか口走ったかもしれない。 とにかく一回ライヴを観てみてくださいよということになったのだが、なかなか都合が合わず、暫しの時が流れた。そして遂に観たのだが、ほぼ「笑え」だけで形成されていた私の空間現代イメージは一挙に更新された。カッコ良いと思った。まるでバトルズを経過した人民オリンピックショーだ。或いは、デジタル・サンプリング/エディット感覚を備えたディス・ヒート?。エイティーズの内外のポストパンクや、更に昔のキャプテンビーフハートなんかを思い出させたりもしながら、ちゃんとゼロ年代末のサウンドにもなっている、という気がした。ライヴの後、私は生徒Aにこう言った。曲が揃ったら、そしてもうちょっと演奏が巧くなったら、アルバムを作ってみようかね。 その後、2008年末の「エクス・ポナイト/ポ祭!」のフロントアクトに空間現代を抜擢、知名度ゼロに近かったにもかかわらず、ライヴ後、あのバンドは何?と問い合わせが相次ぐ好演を見せ、2009年はライヴを控えめにして曲作りと練習にウェイトを置き、春先くらいに遂にアルバム一枚分の曲がレコーディング可能となった。それからも色々あるにはあったが、最終的に鬼才・宇波拓をエンジニアに迎え、何とたった一日で録り上げられたのが、この空間現代のファースト・アルバム『空間現代』である。 あらためて通して聴いてみると、このバンドがこの数年間で、どれだけ進化してきたかが実によくわかる。マス・ロックというよりもメタマス・ロックとでも呼ぶべき(なんでもメタ付けるなよとか思うかもしれないが、メタマスという言葉はちゃんとある。グレゴリー・チャイティンの同名の著書参照。関係ないけど。そういえば「他者他者」には「メタなんて失笑」というフレーズがある。)変拍子/ポリリズムをヒネった強力なリズムと、切り裂くようなリフが印象的なギター、呟きと叫びの間を往還する、躁病の呪文のごときヴォーカル、そして随所に仕掛けられた、生演奏でループ/逆回転/ワープなどを無理矢理行なうという斬新なアイデア。更に宇波君の手によって超アトモスフェリックでスペーシーでトリッキーなミックスが施され、端的にいって、このアルバムは現在の音楽シーンが見失ったオリジナリティへの追求に果敢に挑み、そしてそれにかなりのレベルで成功してしまった、紛れもない傑作に仕上がった。生徒Aによる歌詞/言葉も非常に面白い。まるでブログと現代詩を攪拌してカラッと揚げたかのよう(褒めてます)。私は大変満足している。しかし何と、ほんとうにCDを作ってしまった。瓢簞から駒というか、ウソ(?)から出たマコト(??)というか、しかし今では私は、これは運命だったのだと思っている。 生徒A改め野口順哉、古谷野慶輔、山田英晶の三人が空間現代である。とにかく聴け!、そして笑え!、そして考えろ!、そういうことをさせてくれる音楽は今となっては滅多にない。 佐々木敦 ということで、ヘッドホンで絶賛先行発売中です。 試聴や詳しい情報はココ!
by ex-po
| 2009-12-08 10:56
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